睡眠のメカニズム(サーカディアンリズム)
睡眠のメカニズム(サーカディアンリズム)
さて、睡眠はどのようにして発生するのでしょうか?
実は、生体リズムを刻む「生体時計」にもとづいて発生しています。主な生体時計は、眼球の奥に位置する「視交叉上核(しこうさじょうかく)」が、それにあたります。この生体時計が刻む24時間±4時間(20~27時間)に近いリズムを「サーカディアンリズム」と呼びます。
この「サーカディアンリズム」が眠るべき時を決め、また、起きるべき時を決めています。しかし、この生体時計は、後ろにずれていくという癖のようなものがあります。それにより、現代人には夜更かしや朝寝坊をしてしまう傾向が多く見受けられるのです。
この後ろにずれていく生体時計は光の影響を強く受けます。光によって生体時計がリセットされ、正しく機能しているのです。そのおかげで、特別な状況下でなければ、朝と夜の生活が逆転してしまうということがないのです。
この生体時計が正しく機能しない場合もあります。それは、「時差ぼけ」の時や、「夜勤等による体調不良」などの例が挙げられます。
睡眠の種類と役割
私たち人間にとって、欠かすことのできない睡眠。実は眠っている間、私たちは大きく分けると役割の異なる2種類の睡眠を交互に繰り返しているのです。
①ノンレム睡眠(Non Rapid Eye Movement)
ストレスの多い現代社会で、疲れた脳を積極的に休ませる深い睡眠です。眠りについた初期に多く発生します。
②レム睡眠(Rapid Eye Movement)
身体を休ませ、日中の活動によってインプットされた膨大な情報を、効率的に整理して記憶させる浅い睡眠です。脳は起きている状態なので、目を閉じていても眼球は小刻みに動いています。
睡眠と体温
寝入りばなに、人の身体の深い部分の体温、いわゆる「深部体温」が下がっていきます。深部体温が下がっていく過程で、睡眠が発生するようにできています。この時、体表面の皮膚温だけ見ると、一見、体温が上がっていっているように見えます。
しかし、皮膚温度が上がっているのは、深部温度を外に放熱している状態なのです。乳幼児が眠たくなると、手足が暖かくなる現象は、まさにこのような状態になっているのです。
睡眠中には、体温にも変化が起こります。
深部体温は、午前4時~5時頃に最低になります。体温が低くなると、浅い眠りである「レム睡眠」がたくさん現れて、起きる(覚醒する)準備が体の中で始まります。